最近は何か書きたい、伝えたいことがほとんどなくなりつつ、あるいはそういう意欲が失われつつあります。それでも、いままでずいぶんいろいろ書いてきた習慣のせいか、何か書いてみるべきなのかなと思い、普段使っている数本の万年筆について、綴ってみたいと思います。

パイロット カスタム74 SM



日本の三大万年筆メーカーの筆頭、パイロット社の製品であり、日本を代表する万年筆であり、そして僕が初めて握った万年筆でもあります。最もスタンダードな、王道の一本です。
パイロット製品の特徴は、品質の高い安定性にあります。ペン先は1000分の1ミリ単位の仕上がりが書き味に影響を与えます。海外製品の場合、新品にもかかわらず、引っかかりを感じたり、インクが掠れるということがしばしばあります。そのため、万年筆好きの間では、必ず店頭で試し書きをして、一本一本の個体差を確認してから、気に入ったものを選んで購入することが慣例になっています。その点、日本製であれば安心して通販でも買うことができますし、中でもパイロットは特に品質が安定しています。
ニブと呼ばれるペン先は、SMというタイプを選びました。ソフトミディアム、柔らかい中字の意味です。万年筆を使ったことがない人にとっては、通常の固さでも十分柔らかく、Sともなればかなりの違和感を覚えることになります。実際、誰かに「ペンを貸して欲しい」と言われたときに、この万年筆を渡すと、書き出した直後に手を止めてペン先を確認するという仕草をみることができます。
手帳に書くならFの細さが必要になりますが、僕は手帳を持たないため、万年筆らしい書き味、文字になるMを選んでいます。